●男はつらいよ
映画「男はつらいよ」は、渥美清さんが主演する人気シリーズです
テキ屋の車寅次郎というキャラクターが、日本各地を旅しながら、色々な人と出会い、恋をしたり、騒動を起こしたりする物語です
山田洋次さんが原作・脚本・監督を務め、1969年から1995年までに48作が公開されました
●映画のパターン
「男はつらいよ」の人気の一因としてパターン化による分かり易さがあるかと思います。以下にパターンを挙げます
寅さんは、旅先で美しい女性(マドンナ)に一目惚れする。 マドンナは、既婚者や婚約者がいたり、寅さんとは身分や立場が違ったり、寅さんに興味がなかったりすることが多い
寅さんは、マドンナに近づこうとして、色々な手段を使う。 たとえば、偶然を装って声をかけたり、助けになったり、プレゼントを贈ったり、嘘をついたりする。 しかし、寅さんの行動は、マドンナに迷惑をかけたり、誤解を招いたり、トラブルを引き起こしたりすることが多い
寅さんは、故郷の柴又に戻ってくる。 家族や友人たちは、寅さんの帰りを喜んだり、叱ったり、からかったりする。 寅さんは、自分の恋の話をしたり、自慢したり、相談したりする。 また、寅さんは、家族や友人たちの悩みや問題に関わったり、助けたり、解決したりすることもある
寅さんは、マドンナに会いに再び旅立とうとする。 しかし、マドンナは、寅さんの想いに気づいていなかったり、気づいていても断ったり、既に他の人と結ばれていたりすることが多い。 寅さんは、失恋したり、身を引いたり、諦めたりする。 そして、寅さんは、次の旅に出る
つまり
→旅に出る
→恋をする
→柴又に帰り自慢する
→失恋する
→旅に出る(振出しに戻る)
という、お決まりのパターンがあります
日本人はパターン化された続き物が好きですよね
●寅次郎 vs さくら
価値観を対比させることで視聴者を引き付けています
視聴者を代表する妹さくら。こちらは山田洋二監督曰く「物質的豊かさをのみを目指す」俗世の代表です。高度成長期に「家電三種の神器」「自家用車」「マイホーム」など、物質的な欲望を満たすものが次から次へ登場し、それを得るため「お金」に縛られた生活を送る俗世です
寅次郎はさくらと対照的な生活送る所謂「ヤクザ風情」と言ったところではないでしょうか。しかし寅次郎は任侠映画に出てくるような闘争に明け暮れるヤクザではありません。本人曰く「渡世人」と言ったところでしょうか
この異母兄妹が織りなす人間ドラマが人気の最大の要因だったと考えます
●お金に縛られない生活への憧れ
「男はつらいよ」は高度成長期からバブル崩壊に至る時期に作成されました
人は物質的豊かさを求めお金に執着し、バブルがはじけるとお金にも見放されてしまいました。しかしそれでも生きていくためには「お金」は必要であり、お金を得るためには厳しいノルマ、仕事漬けの毎日、窮屈な人間関係など社会の掟に縛られた生活しか送れません
寅次郎のように何にも縛られず全国を旅する生活に憧れた人も少なくないのではないでしょうか(私もその一人)
●老後こそフーテン生活を送るべき理由
多くの人はお金に縛られた生活を送ってきたと思います
現役を引退し、年金を受給する年になったら少ないながらも一定の収入は見込めます。その収入の範囲でフーテン生活を送るべきだと古羊生活は考えます
いかにその理由を述べます
生きていくには刺激が必要
寅次郎は全国を旅し、そこでマドンナと出会って恋をし、失恋してまた旅に出る。これほど人生を豊かにする刺激はあるでしょうか
年を重ねると経験値が増え、新しいモノにも新鮮さを感じなくなります。これこそが老化を加速する悪因ではないでしょうか
新鮮な経験をし、脳に刺激を与え老化を防ぐため旅をし、多くの人に出会い、時には恋をする。まさしく寅次郎的フーテン生活ではないでしょうか
物質的豊かさを求めず、今手元にあるお金でその日暮らしをする。そんなフーテン生活を古羊生活と一緒に考えてはみませんか