●遺産相続
本ページのタイトルである「先祖を偲ぶ旅」とは哲学的な崇高な雰囲気を漂わせていますが、なんのことはありません。遺産相続のための手続きをしたことが先祖について考えるキッカケになりました。俗物的世界から哲学的世界へ導かれるとは今でも驚いています
相続手続きの一番最初は「被相続人を正確に把握する」ことです。なので戸籍を取り寄せることになります。以前は戸籍を集めるとなると一戸籍ずつ自分で追跡しながら請求しなければならず手間とお金がそこそこかかりました。現在は本籍地の役所に申請するだけで必要な戸籍を役所が集めてくれるようです
●戸籍証明書
現在の戸籍は平成6年に電子化されたものになります。A4縦の横書きです。「戸籍証明書」としてコンビニ等で軽易に取得することができます
電子化される以前の戸籍は役所に行って取得することになります
※戸籍サンプル引用サイト
行政書士笠井寛昭事務所
https://kasai-sgo.com/familyregister-familytree/familyregister-format.html
●電子化される以前の戸籍
相続ですから平成6年以前の戸籍も必要になってきます。平成6年をまたいで生きた人は電子化された戸籍のほか、紙の戸籍もあります。昭和23年から採用されている様式で、和文タイプライターで記載されているようです
英文タイプライターならアルファベット26文字と記号で済みますが、日本語は2000文字の活字をタイプライターで打ち込むという職人技が必要でした。電子化された現代に生まれて幸せです
●大正4年式戸籍
昭和23年をまたいで生きた人は更に古い戸籍が存在することになります。それが「大正4年式」となります。よく見ると手書きですね!
この頃になると本籍地の住所が今と異なっているはずです。東京は「東京市」でしたし、区市町村に至っては今はなき地名が記されている戸籍のほうが多いと思われます
そしてこの頃の戸籍をみると、自分にとっての祖父母は「子」として記録されていて、その親つまり自分から見て「曾祖父母」が見つかります。写真でしか見たことのない先祖の記録がここにあり、生きていた証となります
こうして父方、母方を追っていくとご先祖様に再会した気分になった気がしませんか?
※戸籍サンプル引用サイト
行政書士笠井寛昭事務所
https://kasai-sgo.com/familyregister-familytree/familyregister-format.html
●天保6年生まれ
こうして戸籍を追っていくと、私の場合高祖父までたどり着きました
高祖父は天保6年(1835年)生まれでした。天保と聞いて思うところありすぐにググると・・・はやり・・・
天保7年 天保の大飢饉 天保騒動
天保8年 大塩平八郎の乱
高祖父が赤ん坊のとき世の中は大飢饉だったのです。これは我が家系の一大危機だったはずです
●もし先祖の一人がいなかったら・・・
「歴史のif(もしも)」を題材とした小説等を見かけますが、自分の先祖にifがあったら・・・と考えたことはありませんか
私の例だと、高祖父が1~2歳のころ天保の大飢饉が世の中を襲いました。もし高祖父が飢饉で犠牲になっていたら・・・
こう考えると、高祖父を守ってくれた養育者(戸籍では分からず)にそれこそ「足を向けて寝られない」です。この言い回しは身内には使わないと思うので言い換えれば「先祖に感謝する」となるのではないでしょうか
●先祖の暮らしを偲ぶ
戸籍には「本籍地」が記されています。これには古い地名が記されており、また漢字も旧字体が用いられている、および個性的な字で判読に苦労するなど一筋縄で読み解くことはできません。しかしネットを駆使すれば現在の住所にたどり着くことも難しくはありません。昔の地名でググると現在の地名を教えてくれます(一部例外あり)
先祖の本籍地(住所)が判明したら、現地を訪れてみてはいかがでしょうか。今はネットで現地の様子が伺えますが、ネットと現地では全く別物と言って過言ではないと思います。現地に赴き地元の人と接する。誰も先祖のことなど知らないでしょうがこうした体験を経て先祖の暮らしを偲び感謝することが「先祖に感謝する」ことになると私は信じています
●郷土資料館の活用
若いころはおろかつい最近まで近所の郷土資料館など興味もなかったのですが、戸籍を追うことで先祖を知り、その時代背景を重ね合わせると考えが改められました
「天保の大飢饉のころ、この地はどういう状況だったのだろう。どんな苦労をしてきたのだろう」と思いを馳せるようになってきました
こうした歴史を追うには郷土資料館に訪れることが良いでしょう。興味のある点(例えば天保の飢饉のころ)を絞って訪れ、見学するうちに関連する思いがけないことを追加で知ることになる。これは現地に行かないと得られないことです
●旅行には時間と金の制約がある
先祖を偲ぶ旅行に出かけるためには先立つものが必要です。また日程が決まっていると時間切れでやむを得ず引き上げることにもなりかねません
先祖を偲ぶ旅は観光旅行のように決まったルートを決まった時間で巡るものではありません。ひょっとしたら遠縁の親戚に出会うかもしれません。時間とお金に縛られた旅行では先祖を偲ぶことは難しいと思料します
●先祖を偲ぶ旅は「車中泊」で
そこで時間に縛られない「老後」を活用します。年代的にも自身が先祖になることを考える時期でもあるでしょうから老後は偲ぶ旅に行くうってつけの時期ではないでしょうか
しかし「お金」には縛りがあります。現役とは異なり収入が生活ギリギリのため旅行どころではない人もいると思います。旅費のうち「交通費」「宿泊費」が大きな負担になっているハズです。そこで活用するのが「車中泊」です
現地で臨機応変に移動するには車が一番でしょう
車の連泊がダメなら宿泊客が少ないと思われる日曜の夜に旅館を訪れ安く泊めてもらうのもアリだと思います(安くしてもらったら旅館の紹介で近所の飲食店に赴き、お店には「旅館からの紹介で来た」と伝え、多少なりとも地元に貢献する姿勢は大切です)
「先祖を偲ぶ」と「老後の人生を充実させる」を同時に実現する今回のお話はいかがだったでしょうか。ぜひ動画をご覧いただき、感想や意見をコメントにお寄せください