年金制度の歴史を知れば、誰のための年金なのかがよく解る
●ビスマルク独首相の格言
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」という格言を聞いたことがあると思います
経験から学ぶことも大切ですが、経験は「一個人の主観」であり期間も高々数十年の範囲でしかありません
歴史は複数の人か紡いできたものであり期間も数百年から千年以上前まで積み重ねることができます。つまり「複数の主観」が「当時の状況」でいかに決断してきたのかを学ぶことが重要だということです。重要なのは「当時の状況」で学ぶことです。
●当時の表現と演出を尊重しオリジナルのまま放送します
我々は日ごろ「今の常識」をベースにして物事を判断します。日常生活はそれでよいのですが、歴史から学ぶときは当時の状況や常識を正しく認識しないと正しく学ぶことができないと思います。懐かしい映画やテレビ番組の再放送に「当時の表現と演出を尊重しオリジナルのまま放送します」なる前置きが表示されることが多々あります。たかが数十年前でさえ今と大きく常識が異なっているのです
●国に奉仕する人のため
年金の先駆けと言える制度は明治8年(1875年)の「海軍退隠令」と言われています。今でいう年金というよりは恩給という性格が強いのですが、これ以降対象者が陸軍や警察官などに拡大され、大正12年(1923年)恩給法により公務員のための制度が確立されました
●厚生年金で戦費調達
昭和17年(1942年)「労働者年金保険法」により工場で働く男子労働者が年金加入者となり、昭和19年には「厚生年金保険法」となり、対象を女子労働者にまで広げています。この年金が今でいう厚生年金の始まりとなります
●戦後の年金制度
昭和20年(1945年)に日本は敗戦し、国名が大日本帝国から日本国へ変わりました
しかしながら多くの制度は名前や形を変えながらも維持されました。年金制度も維持され、戦前の制度から以下のように改革されています
昭和23年(1948年)国家公務員共済組合法の施行
昭和29年(1954年)厚生年金保険法の全面改正
昭和36年(1961年)国民年金法の施行
厚生労働省 [年金制度の仕組みと考え方]
https://www.mhlw.go.jp/stf/nenkin_shikumi_04.html
●蜜に群がる害虫ども
軍人や公務員のために始まった年金制度ですが、これに目を付けた害虫どもがいました
戦費調達は国家の存亡を賭けたものですが、私利私欲のために群がった害虫は決して忘れてはなりません
2004年:グリーンピア問題
2004年:個人情報漏洩問題
2006年:国民年金保険料の不正免除
2007年:年金記録問題(宙に浮いた年金・消えた年金・消された年金)
2015年:サイバー攻撃により125万件の年金情報が漏洩
2016年:年金情報の確認文書を1万9000人に誤送付
ありすぎ!?社保庁や年金機構の不祥事・問題まとめ
●年金保険料を政治家が私物化
平成16年(2004年)に表面化した問題です。詳しくはリンク先をご覧ください
「被保険者等の福祉の向上を図る」として、国民から集めた保険料で「グリーンピア」という保養施設を全国に建設し、挙句の果てに赤字を出して経営破綻したという事案です
●建設地は「時の厚生大臣の地元」
金のある処に政治家あり。グリーンピアの施設13箇所のうち9箇所が歴代厚生大臣の地元であったことなどから、建設利権も指摘されました
●損失額は3,682億円
政官癒着によるグリーンピア事業の損失は全体で3,682億円と言われています。他にも不祥事があるので国民はたまったものではありませんね
グリーンピア(wiki)
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%B0%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%83%94%E3%82%A2
グリーンピア(weblio)
https://www.weblio.jp/wkpja/content/%e3%82%b0%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%83%94%e3%82%a2_%e3%82%b0%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%83%b3%e3%83%94%e3%82%a2%e3%81%ae%e6%a6%82%e8%a6%81#cite_note-6
●年金は破綻するのか
諸説ありますが古羊生活は楽観しています。年金は破綻するかもしれませんが、それに代わる制度が必ず出てきます。自信を持って言える根拠があります
●制度設計は「公務員」がモデル
細かい技術論は省略しますが、太古の昔から制度設計は「権力者」のために考えられてきました。では今の権力者は誰でしょうか。天皇陛下?総理大臣?いえいえ「国家公務員(総合職)」いわゆるキャリア組のエリート官僚だと言って間違いないでしょう
●キャリア組以外も仲間内
キャリア組だけ安泰であればよいのか。下を切り捨てると思わぬ反撃を受けるのは世の常。だからノンキャリ組も仲間とし、決して見捨てたりとはしません
人員構成はキャリア組が約7%なので、もし93%を切り捨てるようなことがあれば内部から崩壊しそうです
●公務員を注視すれば将来が見えてくる
以上のことから、日本のあらゆる制度はノンキャリ組の公務員から謀反を起こされない程度の設計になることが容易に想像できます
我々一般人はこれらを前提とした人生設計をしておけば大きな間違いは最小化できると言えます