2024年現在、年金の受給開始年齢は60~75歳の間で選択できます
もし75歳まで待つと実に84%増しで受け取ることができるようです
では問います「75歳まで生き残る自信はありますか」
●人生100年時代?100歳まで生きる人2.26%
「平均余命」を知っている人は多いと思います。例えば今60歳の人が生き延びる平均の年齢です。厚生労働省簡易生命表(令和4年(2022))によると
男:23.59年
女:28.84年
となっています
これをみると「ああ、男なら83歳まで生きられるんだな」と思う人が少なくないと思われます
落ち着いて考えてみてください。あくまで「平均」なんです。もっと長く生きる人もいれば明日死ぬかもしれないのです。余命をもっと具体的な確率で知りたいとは思いませんか?
そこで活用するのが厚生労働省第23回生命表(男女別)のデータシートです
●今60歳の人が75歳まで生き残れる確率82%
平均余命を見ると上記のどおり「今60歳+平均余命23.59歳≒83歳」となるので年金金を繰下げしてもなんとかなる気がします
しかし年齢ごとの生存率から計算すると、今60歳の人が75歳まで生き残っている確率は約82%、逆に言えば2割の人はお亡くなりになっています。よって75歳から最高額の年金を受け取ろうとしても2割の人は一度も年金を手にすることなくお亡くなりになってしまうと言えます
●受取総額の分水嶺「85歳」まで生き残れる確率約63%
75歳から最高額の年金を受け取ることができたとしても、次なる関門があります。それは「受取総額でも最多となる」ことです
受給開始年齢が60歳および75歳の人が順調に年を重ねた場合、85歳頃に年金の支給総額で逆転するようです
75歳の人が85歳まで生き残れる確率は約63%。ということは残り約4割の人は85歳まで生きられないということです。75歳まで年金をガマンし、最高額を受け取ったとしても4割の人は受取総額が少ないままお亡くなりになっています
●生き残り確率の男女差はかなりある
一般常識として「女性のほうが長寿」であることは疑いの余地がないところです
実際に年金最高額を受給し、85歳まで生き残る確率は
男:63%
女:80%
圧倒的に女性のほうが長生きで年金制度上有利と言えます
●リスクの確率を「数値」で知る
年金にまつわるリスク話は数多くあります。ウソを言うサイトはまず見かけませんが、ほとんどが「リスクの程度を言葉であいまい表現している」と感じます
一番顕著だと思ったのが「繰上げ受給すると障害年金が申請できない」ということを知らせる情報です。これ自体は正しい情報でウソはありません。ただし内容が「年99万円の障害年金を一生分損をする」「60~64歳の間に障害認定されると一生後悔する」など、言葉だけで不安を煽る内容が殆どです
私は思いました。「そのリスクの確率ってどの程度なの?」
●60~64歳に障害年金を申請する確率約0.2%
詳しくば別動画で紹介していますが、上記のように不安を煽っている事象に当てはまる確率は約0.2%でした。これは所謂「身体障害」に該当する事象です
知的障害や精神障害は約0.8%です
これら確率は個人の既往歴や個性などで受け止め方が人によって大きく異なるかと思います。皆さんはどう感じましたか
●コンマ以下の確率で騒ぎ、二桁%にはダンマリ
0.2%や0.8%の事象は大騒ぎして不安を煽りますが、「男で75歳から年金を受給開始しても約4割が受取総額で損をする」ことにはダンマリなサイトが多いです。はぐらかすため「平均余命、男は83歳です」みたいなぼんやりとした情報でお茶を濁すのがせいぜいです
●本当のリスクを知り不安を和らげる
確率はあくまで一般論で万能ではありません
しかし0.2%で大騒ぎし、40%は気にしない、ことで将来の不安は払しょくできるでしょうか
83歳頃に病床でいよいよ人生の幕が下りようというとき「年金が75歳から最高額貰えると聞いて、それまで無理して働き詰めた結果がこの仕打ちか・・・」と振り返りたくはありません
「年金は24%減額されたけど、元気なうちにお金を使うことができて思い出を作ることができた」と振り返りながら幕を下ろしたいですよね
価値観は人それぞれです。人生の幕引きの時後悔しないような生き方をしたいと願います